私のNinja650のオイル交換は、走行距離が少なくとも6カ月くらいで交換するようにしております。
前回から6カ月が経過したので、そろそろ交換かなと思っていた時期です。
いつもはお店にお願いしていますが、お店に行くのも面倒だし、待ち時間もあります。
オイル交換くらい自分でできるようになれば安くつくかも?ぐへへ…
この浅はかな考えが、大惨事を引き起す羽目になろうとは夢にも思ってもみませんでした。本連載は、今回起きた大惨事について書き綴っていきたいと思います。
オイルの選定について
さて、いつもはお店でワコーズのトリプルアールを交換して貰っていました。ただ、そういえば純正品のほうがいいかもしれないと調べていたところ、カワサキとエルフが共同開発した「冴速」が目を引きました。なぜ目を引いたかというと…このオイル、緑色なのです。
カワサキはオイルまで緑色なのか…
「冴速」は純正オイルですが、その割には意外とお手頃価格です。とりあえず試してみたいなと思い、今回は「冴速」を入れてみようと思います。
オイル交換に使うもの
必須
任意
- オイルジョッキ
- ビニール系の手袋
- オイル受皿(トレイ)
- メンテナンススタンド
オイル
まずはオイルがないと始まりません。
オイルを選ぶ際に目にする「10W-40」のような表記ですが、これはオイルの粘度を表します。
表記の前半は、低温時の粘度です。「W」はWinterの頭文字で、数値が低ければ寒いときに動きやすくなります
表記の後半は、高温時の粘度です。数値が高ければ高温時に油膜を維持しやすくエンジンの保護に繋がります。以下は、エンジンオイルの表記ごとの目安を示します。なお、図中の「SAE」は、エンジンオイルの粘度をあらわす規格です
粘度が低ければ、エンジンへの負荷が少なくなる反面、保護機能が低下します。
粘度が高ければ、エンジンの保護機能は高まる反面、負荷が高くなり吹き上がりが悪くなります。
適切な粘度はバイクごとに異なりますので、説明書を確認してください。
他の粘度を試してみましたが、標準の「10W-40」が一番しっくりきました。
オイル量は、オイルフィルタ交換の有無で変わります。Ninja650の場合は以下の通りでした。
オイルフィルタ交換する場合 : 1.6L
オイルフィルタ交換しない場合 : 1.8L
廃油処理箱
オイル処理箱は、古いオイルは捨てるために使用します。油を吸い取る素材で敷き詰められ、ビニール袋にくるまれてます。これに古いオイルを注ぎ込みオイルを吸わせてビニール袋の口を締めます。
自治体にもよりますが、液体のままだと回収してくれないことが多いです。そのため、販売業者や専門業者に引き取ってもらう必要があり、処分が面倒です。
しかし、廃油処理箱を使えば自治体に回収してもらえることが多いです。私の住む市では普通の燃えるごみとして出すことができます。(ホームページに明記されていなかったため、念のため電話で確認しました)
バイク用の小型の廃油処理箱はおよそ200円~400円程度で購入することができます。
メンテナンススタンド
古いオイルを受ける廃油処理箱やオイル受皿を置くために少しスペースを確保するため、また、新しいオイルを入れたときの注入量チェックすべくバイクを水平にしたいときに使います。抜いたオイルを受けるスペースがあれば不要だと思います。
メンテナンススタンドは、オイル交換以外だと、チェーン清掃やタイヤ交換でも使用できるので便利です。なお、センタースタンドが付いている車種については不要です。
レンチ
オイルを抜くためのドレンボルトを緩めたり締めたりするために使用します。ドレンボルトを締める強さ(トルク)はあらかじめ規定されています。締める強さの感覚がわかるならメガネレンチだけでも可能ですが、締めすぎてネジ穴を舐めてしまうのを防止するため、規定トルクで絞めるための工具であるトルクレンチを準備するとよいでしょう。
モンキーレンチなど、開いてる箇所があるレンチは、ボルトの頭を舐めてしまう可能性があるので使わないようにしましょう。
ドレンワッシャー(ドレンパッキン、ガスケット)
ドレンワッシャーはオイル染みを防ぐためのものです。ドレンボルトで締めただけだと、ボルトとオイルパンとの間にわずかな隙間ができ、そこからオイルが染み出します。そのため、ドレンワッシャーを隙間にはさんで締め付ると、ドレンワッシャーは隙間を埋めるように潰れ、オイルが漏れを防ぎます。
ドレンワッシャーは様々なサイズがあり、車種によって異なりますのでご注意ください。カワサキ車の場合は、M12が多いようで、Ninja650純正のドレンワッシャは、M12(内径)×22(外径mm)×2(厚みmm)です。
ドレンワッシャーは、次回のオイル交換のときに再利用できますか?
潰して隙間を埋めるものなので、基本的には再利用できません
オイル交換をしてみよう
廃油処理箱を設置する
今回はメンテナンススタンドを使い、後部(リア)を持ち上げてバイクを水平にしますが、オイルを受ける容器を置くスペースがあればサイドスタンドでもOKです。
次に、廃油処理箱をドレンボルトの下あたりに設置します。
手がオイルで汚れると後から洗い流すのが手間ですので使い捨てのポリエチレン手袋を付けました。
ドレンボルトを緩める
ドレンボルトを緩めて古いオイルを排出します。ボルトを緩めるとき、どれくらい力加減で緩めたかを覚えておくと、締めるときの力加減の参考になります。
前もって少しだけエンジンを温めておくと、オイルは排出しやすくなります。暖め過ぎると火傷する可能性があるのでご注意ください。
あとはボルトを緩めてオイルを排出するだけ…
…
あっ
強風やオイルの残量によってオイル排出の軌道が変わるのでご注意ください。やはりオイル受皿があったほうが何かと安心だと思います。結構失敗する人は多いようで、あらかじめ新聞紙やビニール袋を広げるとよいです。
やむを得ずオイルがこぼれてしまった場合は、パーツクリーナーやウエスを利用して拭き取りましょう。
廃油処理箱の袋を締め、あとは廃棄するだけです。
ドレンボルト(とドレンワッシャー)を締める
ドレンボルトを再利用する場合は、あらかじめウェスで古いオイルやゴミをふき取り綺麗にします。(砂などついているとボルトの穴を傷めます)
今回は新しいドレンボルトとドレンワッシャーを使います
その後、ドレンボルトにドレンワッシャーを取り付けて、指で絞められるだけ締めます。(斜めに入ってネジ穴を潰さないようにするため)
指で絞められなくなったら、メガネレンチを使って緩めた時と同じ力加減で絞めるか、トルクレンチを使います。
私はトルクレンチを所有していたのでそちらを使うことにしました。
まずは、規定トルクに設定して
あとは合図である「チキッ」と言う音とともにヘッドが滑るまで回すだけです。
だけです…
…おかしい。いつまで絞めても合図ない…。
一旦ボルトを抜いてみると…。
何やらボルトの隙間に不穏な金属クズが…。
もうお分かりですね。
オイルパンのネジ穴舐めた!!!!!
オイル交換で一番やってはいけないことをやってしまいました。
オイルパン(受け側)は、アルミ製なのでドレンボルトの方が強く、締めすぎると舐めてしまいます。
今回、ドレンボルトを交換しており新しいドレンボルトは純正のボルトより少し短いようです。純正ボルトの奥の方はまだネジ山は無事のはずなので、元の純正ボルトで舐めないように力加減を調整しながら絞めなおします。
トルクレンチを使っているはずなのに…なんで…?
とりあえず、ある程度はトルクがかかる感じまで絞められたので次の工程に進みます。
新しいオイルを注油する
まずは、オイル注入口のフタ(オイルフィラーキャップ)を外します。
Ninja650のオイルフィルターを交換していないときの注油量は、1.6Lです。今回購入した冴速は1L缶ですので、1缶+0.6缶を注油します。
1L缶は、オイルジョッキがなくてもおおよその量がわかるので便利。
1缶目はすべて注油し、2缶目はある程度注油したらオイル窓を見ながら注油します。オイルの抜き方によってどれくらい注油が必要か変わってくるので、規定量が近づいてきたらちょびちょび入れます。
…
あれ、2缶目6割は入れたと思うんだけど、まだオイル窓みるとまだまだ?
違和感を感じましたが、注油を続け、ようやくオイル窓のアッパレベルとロウレベルの中間より低いところまで入ったので、とりあえず注油を打ち切ります。結局なぜか1.8L~1.9Lくらい入れました。
オイルフィラーキャップを締め、エンジンをかけてみます。
エンジンを循環した後に戻ってくるオイルのせいか、窓一杯にオイルが見え不安になりますが、エンジンを停止すると元に戻りますし、これで大丈夫そうです。
次回予告
オイルをこぼしたりドレンボルトを舐めたりなど、失敗をしながらもオイル交換は完了。試走しようとしたところ、注油のミスに気が付いてしまうのでありました。悪いことはさらに続きます。注油ミス以外にも致命的な状態なっていることに、この時はまだ気が付いていないのでした。
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