先日、ドレンボルトを締めたときにトルクをかけ過ぎてボルト穴を舐めてしまいました。「もうこんなことは繰り返したくない」とインターネット上を彷徨っていたところ、おもしろそうな製品を見つけましので、今回はその話です。
エコオイルチェンジャー・ジェットとは?
通常、オイル交換をする際にはドレンボルトの着脱が必要です。しかし、このエコオイルチェンジャー・ジェットを着けると、レバー操作によるバルブ開閉でオイル交換ができるようになります。
まじで!?じゃあオイルパンのボルト穴を舐めることないじゃん!
元々、日本郵便オフィスサポート株式会社の四輪用で多くの実績がありました。業務用バイクの保守作業効率化のために麓技研株式会社に開発を依頼して作られたのがこのバイク用のエコオイルチェンジャー・ジェットだそうです。
業務用バイクということは、もしかして郵政カブで使われている?
Twitterでこういうの欲しい、と呟いたところ
オイル漏れそう
いたずらされそう
メーカーが採用しないってことはそれなりに理由があるんじゃない?
という意見がありました。そういわれると逆に試してみたくなるのがこの私。
それなら実際に使ってみて試してみるしかない!
ということで、実際に購入してレビューをしてみたいと思います。
早速購入してみた
エコオイルチェンジャー・ジェットは、ドレンボルトの規格によっていくつか種類があります。
締め付けトルクはいずれも20N・Mです。
型番 | ボルト規格(太さ[mm] – ネジ山間のピッチ[mm]) |
---|---|
B103SX | M12-P1.25 |
B109SX | M12-P1.5 |
B111SX | M14-P1.25 |
Ninja650のドレンボルトの規格は、M12-P1.5ですので、「B109SX」を購入しました。
内容物は以下の通りです。
①エコオイルチェンジャージェット本体
②エコオイルチェンジャージェットのボルト
③ソケット(SL-10)※走行中は外しておく
④レバークリップ(LC-10SX)
⑤アルミパッキン ※B103SXには付属しない
⑥トルクリミッター
エコオイルチェンジャー本体とボルト
色はゴールドカラー。バイクに装着すると結構目立ちそう。寸法はこんな感じです。
制限事項として、M14-P1.25の特殊形状のパッキンを採用しているスズキの一部車種については使用不可とのこと。
ソケット
排出口の向きを90度変えることができます。オイル受けの都合によって自由に変えられます。
なお、ソケットはオイルを排出するときだけ装着し、走行中は外す必要があります。
レバークリップ
青い部品がレバークリップです。
不意にレバーが動いてバルブが開くのを防ぎます。
なんか気が付いたら無くなってそう
アルミパッキン(※B103SX除く)
エコオイルチェンジャージェット本体には、Oリングがあるため基本的には使用しません。
ただ、エコオイルチェンジャージェット本体はやや大きめなので、ドレン穴周辺にある程度平らな面がないとうまく密着できません。平らな面が確保できない場合にスペーサーとしての役割を果たします。
トルクリミッター
本体の取り付けは、付属のボルトで絞める必要があります。付属の説明書にもある通り、規定トルクである20N・Mを厳守する必要があります。規定トルクを守らないとボルト穴を舐めてしまい、そこからオイルが漏れだしてしまう可能性があります。
ボルト穴を舐めると高くつくよな!(ジト目
(ビクゥ!
ところで20N・Mってどれくらいの力なの?
そんなひとのために付属しているのがトルクリミッター。このトルクリミッターを使うと、規定のトルクがかかった時に溝の部分がねじ切れます。
溝から短い方がエコオイルチェンジャー・ジェット側で、長い方が工具側になります。
なお、説明書を見ると「ソケットレンチ」もしくは「メガネレンチ」のように六角ビットを全面囲うような工具を使うようにとのこと。一部がオープンになっている「オープンスパナ」や「モンキーレンチ」は使用してはいけません。
トルクリミッターは1回限りの使い捨てなので、力加減を覚えておきましょう。
【追加オプション】ポートキャップ
排出口の先に装着するプラスチック製の蓋(PC-10)です。通常のパッケージとは別に追加で購入しました。価格は220円です。
バイクに付けてみる
ドレンボルト周りに24mmほどの密着できる平らな面が必要です。手元にあるNinja650の新品のオイルパンを測ってみると25mmほどあるので問題なさそう。
さっそく試着してみます。
問題なさそうですね。
ところでなんで新品のオイルパンがあンだよ?
(´・ε・`)ピュ~♪
おもむろにエンジンオイルを抜きます。
Oリングが千切れるのを防ぐため、Oリングに新しいエンジンオイルを塗布することで滑りやすくしてからオイルパンに装着します。
そして、ボルトは真っすぐ入れるよう注意します。工具を使う前になるべく指で回せるだけ回します。
斜めに入ったり、ネジ山の隙間に砂やゴミなどの異物があるとボルト穴を傷めオイル漏れを引き起こす原因となります。
排出口は好きな角度に調整できます。私は、廃油を集めやすくするため排出口を下にしました。
締め付けるにつれてかけるトルクが強くなるとオイルチェンジャージェットが一緒に回ってしまいますので、回ることを想定して向けたい角度の少し手前で仮締めしておきます。なるべく動かないよう手で押さえながら締めるとよいでしょう。
ちょうど買ったばかりのトルクレンチがあったので、今回はトルクリミッターは使いませんでした。トルクリミッターを使う場合は1回限りの使い捨てなので、トルク感を覚えておきましょう。
(排出口の位置合わせをもう一度やり直したいときのため)
規定トルクは20N・Mですが…若干オーバー。
あとはオイルを入れてみますが、特に問題なさそうです。
その後、気温35度を超える猛暑日にそこそこエンジン回してきました。その後、エコオイルチェンジャージェットの周りをウェスで拭ってみますが、オイルの付着なし。1カ月ほど経ち再びウェスで拭ってみますがやはりオイルの付着なしです。
オイル交換をしてみる
オイルを排出する
今回、排出口は下に向け取り付けました。その理由は排出するオイルをペットボトルに流し込むためです。(ペットボトルに入れた廃油はあとで缶に移し替えます)
まず、排出口の下にペットボトルをセットして、エコオイルチェンジャージェットのレバーを向かって右に押さえながら上に押し上げます。
最初の500mlの排出速度はおよそ70~80秒くらい。非装着時の排出速度はもはやわかりませんが、特に不満はないレベル。レバーを閉めるのに手間取り溢れてしまうのを恐れて少し前から構えていましたが、レバーは特別固いこともなくスッスッっと操作できました。
ただ、こぼれた時のために下にビニールやオイル受け皿など敷くとよいかもしれません。
※前々回は冴速、前回はWako’s TRIPLE-R入れてました
どう見ても青汁
排出が終わったら、排出口をウェスやティッシュで拭い、追加で購入したポートキャップで塞ぎます。
新しいオイルを入れる
今回はオイルフィルタを交換しないのでおよそ1.6L入れます。
レバーを開けたまま、オイルを注入しないよう注意
目分量で適当に入れてみましたが、オイル窓から見える量は交換前よりちょっと少ないかな?
通常、オイルの適正量の確認は、バイクが水平な状態で、エンジンを始動し3分ほど暖気した後、エンジンを停止して3分経ってからオイル窓を確認します。
エンジン始動直後はオイル窓から見える量がぐっと減りますが、3分間ほど経つと暖気が終わりエンジンの回転数が落るのと同時に見える量が増えます。
エンジンを停止して3分間経つとオイルの量は入れる前より少し減って見えます。恐らくオイルが行き渡るべき場所に残った分、オイル窓から見える量が減ったのかと思います。
この状態でオイルがアッパレベルとロウレベルの間にあればOKかな。
目分量でちょっとだけつぎ足して作業を終了します。
オイルの廃棄
さて、一旦ペットボトルに入れた廃油は、新油が入っていたオイル缶へ移し替えます。
なぜかと言うと、液体状の廃油はガソリンスタンドやホームセンターなどで缶ごと無料で引き取ってくれる場合が多いからです。
(ホームセンターは車のオイル交換作業を請け負っているような店)
廃油処理パックを買わずに済んで、微妙に捨て辛い空き缶も一緒に処分できて、廃油も多分リサイクルされるだろうし、まさに一石三鳥!!
まとめ
エコオイルチェンジャージェットの良い点と気になる点をまとめてみます。
良い点
- ドレンボルトの着脱が不要になるのでボルト穴を舐めることがない(大切)
- ドレンボルトを外すときに廃油で手を汚さないで済む
- レバー操作だけなので工具が不要
- ドレンパッキンを買わなくて済む
- オイルを入れすぎたとき、必要な量だけ抜くことができる
- 廃油処理パックがいらない
- オイル交換が気楽にできる
私に限っては、諸事情により長いボルトの利用ができないため短めなのが助かりました。
気になる点
- そこそこ高額
- 本体が少し大きめ
- 工具不要なのでいたずらされる可能性がある
- レバーが何かに引っかかり意図せず開く可能性は捨てきれない
- Oリング劣化していないか、オイル染みの定期チェックが必要
- 石などがぶつかる場合は使えない
簡単にレバーが開閉できるのはよいですが、いたずらされる可能性があります。金色で目立つので、人目にもつきやすいです。ただ、バイクの場合はワイヤー・ホース類はむき出しですし、各種液体もその気になれば抜けます。なので、そこまで神経質になる必要もないのかなと一旦は割り切りましたが、バイク自体いたずらされやすい性質があり、オイルを抜くのに工具不要ということで不安が残ります。人からレバー式のバルブでいたずらされたという経験を聞くと、いつかは自分も…と不安になります。気休めだとしてもやはり対人ロックは欲しいです。
Oリングはゴムですが、装着後は水・空気・紫外線に触れないため比較的劣化は少ないとのこと。ただし、定期的に異常がないかのチェックは必要です。
注意したいのは、石などがぶつかる場合。荒地を走るオフ車などハードな環境で利用する場合は避けたほうが無難だと思います。
同様の製品について
似たような製品でEZバルブがあり、どちらを購入するか迷っていました。EZバルブも、エコオイルチェンジャージェットと同様にレバー操作でオイル排出ができるようにする製品です。
オイルチェンジャージェットと比較したEZバルブの特徴としては以下の通りです。
- お手ごろ価格
- コンパクト
- 排出口の角度の調整が難しそう
当初はEZバルブを買おうかと思っていたのですが、EZバルブは本体の角度やL型ジョイント(別売り)を付けたときの排出口の角度の調整が難しそうなのと、エコオイルチェンジャージェットには日本郵便関連企業での実績がある点に惹かれ今回は選外となりました。
ただし、オイルチェンジャージェットと比べるとコンパクトなので、ドレン穴周辺にスペースが少ない場合にはEZバルブを選択するのがよいかもしれませんね。それからお手ごろ価格なのも魅力です。(L型ジョイントを買うと総額が少し上がります)
機能性は試していないので不明です。
最後に
オイルチェンジャージェットの値段は高額ですが、ドレンパッキンを買わずに済むこととオイル処理箱が不要なので長い目で見ればもしかすると安くつくかもしれません。あと、気楽にオイル交換できるのも大きいと思います。
オイル漏れが気になりますが、装着して1カ月半ほどで特に漏れている様子はありませんでした。今後も継続して監視していきたいです。
そうだ!バルブ式のオイルチェンジャーを付けてるバイク見つけたら、少しずつオイルを拝借すればオイル費が…(ゲス顔
ただの泥棒じゃねえか!( ‘д’⊂彡☆))Д´) パーン
(#)ω・`)ギャアアアア!!
終劇